2010年 02月 26日
必冊!赤坂 その七「ヴィクトルは、暮れていく赤坂の街を眺めていた。右手に国際新赤坂ビルがそびえ立っている。ネオンが灯りはじめ、街が夜の化粧を始めた。 実際赤坂の街は、昼間は殺風景だ。化粧を落とした年増女のような風景だった。日が暮れると、ようやく少しばかり華やいだ雰囲気になってくる。 津久井興業が入居しているマンションの玄関が見える場所だった。」 「曙光の街」今野敏著 文春文庫 ヴィクトルは日本人の父とソ連人の母を持つハーフの殺し屋。 ターゲットは赤坂に事務所を構えるヤクザの組長。 公安に流れた、暗殺者来日の情報。 やがて、事務所にも組長が狙われているの話が。 標的の周辺が警戒態勢にある中、ヴィクトルは依頼の通りターゲットを始末することが出来るのか・・・。 冒頭の部分はヴィクトルが組事務所の視察に来たところの描写。 彼は軍に入隊、そしてKGB(旧ソ連の国家保安委員会、情報機関、秘密警察)へ。 やがてKGBの解体時に派閥争いに負けて失職した。 今回の依頼の遂行ため、彼が戦場で、職場で培ってきたかつての感を取り戻しながら、生き生きとしていき、暗殺者然となっていくところがおもしろい。 ついでだが、「文春文庫」の「いい男35冊♂」の中で「敵にしたくないいい男♂」の一人にヴィクトルは選ばれている。 迎え撃つ側の、組事務所の懐刀、兵藤猛もすごい。もとプロ野球選手。 「兵藤は、昔ながらの極道のスタイルを守り通していた。髪は短く刈ってある。黒いスーツにノーネクタイだ。シャツの襟は広く開け、太い金のネックレスをのぞかせている。(中略)極道は極道らしい恰好をしているのが、世の中のためだと、兵藤は思っている。一目で極道とわかるから、堅気の連中が慎重に対応にするのだ。要するに棲み分けの論理だ。」 なるほど、勉強になりました。 さて、作者の今野敏、赤坂・金松堂さん曰く「最近よく売れてますよ」。 TBSのドラマ「ハンチョウ 神南署安積班」の原作「神南署安積班」はハルキ文庫からどうぞ。 次回の必冊もハーフの暗殺者が赤坂を徘徊する。 赤坂ってそんな街かなあ・・・。
by akasaka_hiyoko
| 2010-02-26 23:39
| 赤坂番外編
|
タグ
カテゴリ
以前の記事
2013年 09月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|