赤坂ひよこ日記

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必冊!赤坂 その七


「ヴィクトルは、暮れていく赤坂の街を眺めていた。右手に国際新赤坂ビルがそびえ立っている。ネオンが灯りはじめ、街が夜の化粧を始めた。
実際赤坂の街は、昼間は殺風景だ。化粧を落とした年増女のような風景だった。日が暮れると、ようやく少しばかり華やいだ雰囲気になってくる。
津久井興業が入居しているマンションの玄関が見える場所だった。」
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「曙光の街」今野敏著 文春文庫

ヴィクトルは日本人の父とソ連人の母を持つハーフの殺し屋。
ターゲットは赤坂に事務所を構えるヤクザの組長。
公安に流れた、暗殺者来日の情報。
やがて、事務所にも組長が狙われているの話が。
標的の周辺が警戒態勢にある中、ヴィクトルは依頼の通りターゲットを始末することが出来るのか・・・。

冒頭の部分はヴィクトルが組事務所の視察に来たところの描写。
彼は軍に入隊、そしてKGB(旧ソ連の国家保安委員会、情報機関、秘密警察)へ。
やがてKGBの解体時に派閥争いに負けて失職した。
今回の依頼の遂行ため、彼が戦場で、職場で培ってきたかつての感を取り戻しながら、生き生きとしていき、暗殺者然となっていくところがおもしろい。
ついでだが、「文春文庫」の「いい男35冊♂」の中で「敵にしたくないいい男♂」の一人にヴィクトルは選ばれている。

迎え撃つ側の、組事務所の懐刀、兵藤猛もすごい。もとプロ野球選手。
「兵藤は、昔ながらの極道のスタイルを守り通していた。髪は短く刈ってある。黒いスーツにノーネクタイだ。シャツの襟は広く開け、太い金のネックレスをのぞかせている。(中略)極道は極道らしい恰好をしているのが、世の中のためだと、兵藤は思っている。一目で極道とわかるから、堅気の連中が慎重に対応にするのだ。要するに棲み分けの論理だ。」
なるほど、勉強になりました。

さて、作者の今野敏、赤坂・金松堂さん曰く「最近よく売れてますよ」。
TBSのドラマ「ハンチョウ 神南署安積班」の原作「神南署安積班」はハルキ文庫からどうぞ。

次回の必冊もハーフの暗殺者が赤坂を徘徊する。
赤坂ってそんな街かなあ・・・。
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by akasaka_hiyoko | 2010-02-26 23:39 | 赤坂番外編