2010年 03月 10日
必冊!赤坂 その八「銀座に次ぐ東京の歓楽街、赤坂見附でブルフィンチと待ち合わせをしていた。赤坂見附周辺には無数の細い道が縦横に走っており、中には体を横向きにしなければ通れないような狭い路地もある。おかげで近づくにも、逃げるにも、複数の選択肢が常に用意されている。 SDRを終えて地下鉄赤坂見附駅から<ベルビー赤坂>前に出ると、雨のせいか肌寒かった。通りの向かいには、<赤坂東急ホテル>の戦艦のような巨体がそびえ立っている。いったん足を止めて黒い傘かを開いてから、外堀通りを右に歩きだした。すぐに右に曲がってシティバンク赤坂支店の前を通る細い道に入り、赤い煉瓦敷きのエスプラネード赤坂通りに出る。 約束の時間までまだ一時間以上ある。そこでエスプラネード赤坂通りに面した <天下一ラーメン> で軽く昼食を取ることにした。」 ちなみに、 「SDRとはまさに呼び名のままのもの、尾行している人間が尻尾を出さざるをえなくなるような迂回ルートを指す。」 原題 「Rain Fall」 by Barry Eisler 邦題 「雨の牙」 バリー・アイスラー著 池田真紀子訳 ヴィレッジブックス ソニー・マガジンズ 著者のバーリー・アイスラー、著者紹介を引用すると 「在アメリカ日本企業に弁護士として勤務するアメリカ人。三年ほど日本で暮らした経験があり、流暢な日本語を操り、日本文化にも造詣が深く、柔道は黒帯の腕前である。」 と、書かれている。元CIAの職員でもある。 主人公のジョン・レインは父が日本人、母親がアメリカ人のハーフ。 仕事は殺し。 今回も彼は依頼されたターゲットを、いつものとおり「自然死」に見られるように始末した。 ある夜、彼はジャズピアニストと恋に落ちる。 しかし、彼女は数日前に始末したばかりの人物の娘であった。 やがて、彼女も次の暗殺のターゲットになってしまう。 一転、ジョン・レインは依頼主の策略を暴き、彼女を守りぬくことが出来るのか・・・。 冒頭の部分のブルフィンチ、彼はジョン・レインの協力者でアメリカ人記者。 軽い昼食を終えたレインは、 「一時五十分に食事を終え、料金を支払って店を出た。大きな傘を低くさして顔を隠すようにしながら、エスプラネード赤坂通りからみすじ通りへ、それから三丁目十九番地にある<ボナペティート>の向かいの路地に入り、錆の浮いたトタンのひさしの下に立って待った。」 この作者も赤坂の街の特徴をうまく活写している。 さて、〃楽〃は本のとおりに写しているので、「エスプラネード赤坂通り」は誤植ではない。 念のため。 但し、同じ本が早川文庫からも出ている。 そちらは、正しく直っているかもしれない。 現在、ジョン・レインのシリーズは四冊出ている。 今回の「雨の牙」はその第一弾で、著者の長編小説第一作でもある。 また、この小説は昨年映画化されていて、ジョン・レイン役は椎名桔平が務めている。((未見) 次回は「ドキュメンタリー・ノヴェル」を紹介。
by akasaka_hiyoko
| 2010-03-10 23:59
| 赤坂番外編
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