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赤坂ひよこ日記

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必冊!赤坂 その三

「甲斐はタクシーを拾い、赤坂、と行き先を告げた。」(中略)
「一ツ木通りの入り口でタクシーを降りる。IDパスを首から外し、通りを歩いた。派出所の警察官の数が若干増えている程度で、霞ヶ関の緊張は赤坂の歓楽街にはない。東京全体をカバーするためには警察官や自衛隊員の絶対数が足りない。だが考えてみれば不思議だ。赤坂では絶対に北朝鮮のテロが起きないと誰が決めたのだろう。」

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「半島を出よ」村上龍著 幻冬舎文庫

目下のところ、村上龍の最も新しい長編小説。刊行は2005年。
2011年4月1日、北朝鮮の武装コマンド9人が福岡ドームを占拠。その後、約五百人の特殊部隊が福岡を来襲、制圧。そこに、一般社会で不適合の烙印を押された若者達が立ち上がる。果たして奇跡は起こるのか・・・。

上記の書き抜いた箇所は、全部で24ある挿話の内の一つ、- phase two6 2011年4月7日「赤坂の夜」-(文庫では下巻)の一場面。
総務省総合行政ネットワーク局局長の甲斐智則は福岡の事変発生後、省内に泊まり込んで「住民票コード漏洩」に関する報告書を書き終えた後、久しぶりに行きつけの赤坂のバーへ行く。
赤坂の街は荒れた、少し退廃的な感じで描写されている。

行き着いたバーにはCDでなくてビニール製のレコードでjazzが流れている。
流れているjazzについては演奏者から曲名まで書かれていて、秋には「Swing 赤坂」もあるし、ここらはちょっと注意して読んでもいいかも。
このバーは小説の終わり、- epilogue1 2011年4月14日「赤坂」- でも再び出でくる。
ここでもjazzに関するくだりがある。

村上龍はあとがきで述べている。北朝鮮の資料を読んでいて「脱北者」(韓元彩著 李山河訳 晩聲社)という書物に出会い、小説のなかで「北朝鮮コマンド」を語り手に加えなければと思うようになった。
そんなことが書けるはずもないと思いながらも、書かなければ始まらないと思い、この小説を書きはじめた。
作者渾身の創造力が産んだその「コマンド」の挿話が圧巻。
最近、ここまで自分を圧倒した小説はあまりない。

酒好きの〝楽〟としては、「赤坂の夜」の中に出でくるこのセリフ、バーのオーナーから当分は入荷できないであろう熟れた宮崎産のメロンが客に供されて、

「そうか、じゃあ、福岡および九州の人に哀悼の意を表してとっておきのポルトを開けよう。」一九二八年のテイラーズだった。「そんなすごいの飲んでいいの。?」

羨ましい。

ではまた、来週。
来週は「本屋大賞」受賞作家の作品を。
by akasaka_hiyoko | 2009-07-29 00:03 | 赤坂番外編