赤坂ひよこ日記

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必冊!赤坂 その十一

『去年山王様で起きた鳶の喧嘩のこったよ』
「赤坂にある日枝山王権現社は歴代将軍の篤い信仰の庇護のもと、天下祭りと称する江戸随一の祭礼を神田祭りと一年交替で盛大に催して、真夏の六月十五日には三基の御輿と各町会から出るたくさんの山車が城内に担ぎ込まれた。その先導役を務めるのが鳶の頭で、これに手下の若い者がぞろぞろ従って沿道を練り歩く。山車は各町の競り合いだから、鳶の者はほかの町の鳶とよく喧嘩をした。(中略)
去年の山王祭りではよ組の火消しがも組と衝突して死人が出る騒ぎで、『侠太平記向鉢巻』がその一件を取り上げたのはあきらかだが、ただし挿絵がなければそう気づく者は少ないかもしれない。絵と文が渾然一体となって中身ををわからせるのが青本のおもしろさなのだ。」
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「そろそろ旅に」 松井今朝子著 講談社文庫

ちょうど今、十七日の金曜日まで日枝神社は山王際が行われている。

「そろそろ旅に」は「東海道中膝栗毛」で大ブレークする十返舎一九のブレークする以前を描いた小説。
その中に一九より若輩ではあるがライバルの式亭三馬が書いた「侠太平記向鉢巻(きゃんたいへいきむこうはちまき)」で一足先に知名度を上げるくだりの所が上の部分。

三馬が書いたこの青本は世に出たあと、
怒った火消しのもの達が版元を打ち壊すなどの事件へ発展し、
奉行所の下、鳶、作者も喧嘩両成敗となった。
三馬も町内お預け、手鎖五十日となったが、
街はこの話題で持ちきりに彼の名は世間に知れ渡った。

なお、小説のエピローグに書かれてあるが、「東海道中膝栗毛」を簡単に解説するとこうなる。
「街道の駕籠かきや馬士らおかしな言葉遣い、旅籠の様子や名物の食べ物や何かにはやたらに詳しいこの本は『駅々風土の佳勝、山川の秀異なるは諸家の道中記に精しければ此に除く』と作者自ら宣言して、風景描写は皆無に近いという実に特異な旅行記だった。」


さて、一方、赤坂の氏神神社 氷川神社は今年本祭り。
今年は新しい山車が一台加わり、山車は三台出る。

しかしながら、引手の事情から巡行は新車を含めて二台と聞くが、
各町会のお御輿も自粛なく出揃うということで、
不測の事態がなければ、
大いに盛り上がるのではないでしょうか。

喧嘩は困りますが。

しばらく、時代小説を取り上げる予定です。
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by akasaka_hiyoko | 2011-06-15 00:51 | 赤坂番外編