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2012年 01月 17日
必冊!赤坂 その十四
『「何を奢ってくれるんだ。社員食堂のカレーなんてのは御免たぞ」
「お前の食いたいものでいいのさ」 「じぁあ、赤坂の津つ井でビフテキ丼だ。冷房も効いてるし」 「制作は華やかでいいねえ。こっちは毎日蕎麦屋の出前だ。食い物屋の名前も知らないよ」 丁度正午を知らせるチャイムが鳴り、二人でスタジオを出た。駐車場に停めてある忠の車に向かう。 「これ、ホンダのS600だろ。おまえの車か」笠原が目を丸くした。 「ああ、借金まみれよ」 (中略) 麹町から紀尾井町のホテルニューオータニ横を通り、弁天橋を渡る。首都ハイウェーが複雑に立体交差する赤坂見附を抜けて一ツ木通りに入った。(中略) 赤坂の街は、勤めを終えたサラリーマンやBGで溢れかえっていた。商店の軒には、日の丸と五輪マークを描いた提灯が祭りのように並んでいる。ただし街全体は埃っぽかった。ここでも工事が行われているからだ。』 ![]() 奥田英明著 「オリンピックの身代金」(上)角川文庫 今年と同じく「辰年」。 四十八年前の昭和三十九年。八月も下旬。 東京はアジア初のオリンピック開催を十月に控え、 街中がわきに湧いていた。 そんなさなか、東京で爆弾による爆発事件が発生。 そして同一犯とおぼしき者からオリンピック開催を妨害するとの脅迫状が警察に届く。 容疑者はどこに。警察の懸命な捜査が始まる。 去年読んだ小説の中で最も読みごたえがあった一冊。 本の帯には「これが私の現時点での最高到達点です」との著者の言葉が書いてあるが、 嘘はないと思う。 抜群に面白かった。 さて、ビフテキ丼のお味は。 『津つ井では二人ともビフテキ丼を注文した。ビフテキ丼とは、ステーキ肉を醤油とバターでつないで御飯に載せたものだ。芸能プロの社長に連れてこられ、やみつきになった。 「おまえ、いつもこんないいもん食ってるのか」笠原が眉をひそめ、「おれも、制作を志願すべきだったな」と皮肉を言った。 「馬鹿言え。接待のときだけだ。」』 この二人が行った「津つ井」は現在も赤坂にある。 但し場所はこの当時と変わっている。 この当時は赤坂五丁目五番地。東京放送のすぐ近く。 現在は赤坂二丁目。 アメリカ大使館宿舎正門前に位置している。 お店の脇を六本木通りの方向に抜けていくと、「忠臣蔵」で有名な「南部坂」にあたる。 もちろん、現在でも名物の「ビフテキ丼」、「マルセイユ鍋」が食べられる。 いずれ、行蔵さんにレポートしてもらおう。 よろしく。 ![]() ついでに。 “楽„の去年の一番。 この一冊は木下昇著「茗荷谷の猫」。(文春文庫)
by akasaka_hiyoko
| 2012-01-17 00:43
| 赤坂番外編
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赤坂で活動し、街を愛するメンバーが綴る日記。赤坂の老舗若旦那や、さまざまな業種の人たちが語る赤坂をお楽しみください!
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